鉄道趣味雑記帳

鉄道の旅と模型が好き

トラムウェイ製 60系客車の分解調整

 先日トラムウェイから再生産を待ち望んでいた60系客車が発売となりました。

スユニは一瞬で店頭から消えていった上に、オハユニやオハニ36も既に払底しかけているらしく売れていて喜ばしいやら生産量が足りてねぇと絶望するやらです。

 

 さて、このトラムウェイの60系ですが、どういうわけか異常な高確率(差の大小はあれどおそらくほぼ全ての製品)で車体中央部のボディが外側に膨らんでいるという持病を抱えています。

私はトラムウェイの車両を買うのは今回の60系が初めてでしたが、トラム製品伝統の持病だったりするんでしょうかね?

 

 とにかくこの厄介な仕様ですが、分解調整を施すことで完全に直すことができました。この結果を踏まえて、何が原因かも分析しつつ調整の手順を記していきます。

 

 先に述べておきますが、この持病は組立の粗さや一部の部品の調整の甘さが原因です。

設計・生産時の精度に組立時の工作の丁寧さが追いついていない、といった塩梅で先述の持病が発生している状態でした。

 

・注意点

この調整はメーカー側で想定していない部分まで分解します。特に破損を引き起こしやすい箇所は注記しますが、パーツ破損の可能性が常に付きまとうため自己責任の上で慎重に行ってください。

 

 

・分解

 車体と床下の分離は一般的なプラ製品と同じはめ込み式で、かつ割と緩めの組付けなので、車体裾を広げながら床板を持ち上げてあげればあっさりと分離します。

 ただし室内灯の導電システムが、集電板と室内灯ユニットがはんだ付けされたコードで直結されている構造なので、そのままでは車体と床板を完全に分離する事ができません。そのため一度室内灯を外す必要があります。

室内灯ははめ込みが中途半端な場合はあっさりと外れてくれますが(稀に最初から外れてしまっている場合があるらしい)、そうでない場合はツメで車体にはめ込まれているだけの屋根を一度外してしまってから室内灯を外す方が手っ取り早いでしょう。

 また、もしこの段階で車体側に歪みが発生しているようであれば、マスキングテープ等で車体を内側に少したわませた状態で保持して、しばらく放置することで歪みをある程度取った方が良いと思われます。

 

・チェックポイント1

 車体と床の分離ができたら、ボディ中央部の床板側のツメが引っかかる場所を確認してみましょう。

画像はオハニ61 これはゲート跡が無い当たり(?)の品、まぁ分解しますが

 購入直後の時点でボディ中央部が膨らんでいる場合、結構な高確率でこの部分の窓ガラスパーツにデカデカとゲートが残っています。ここにゲートが残っていると、床板側の固定用の爪と車体側のゲート残りが干渉して車体が外側に押されてしまうわけです。

 なお、ここには目立つゲート残りはないけれども持病は出ているという場合には後述の床板の反りだったり、あるいは他の部分で特大のゲートが窓ガラスパーツに残っていないかを見てみると良いでしょう。

 

・チェックポイント2

 このオハニは無事だったので写真を撮っていませんが、スユニやオハユニの場合は床板の荷物扉に干渉する部分の欠き取りの大きさが実際の荷物扉の位置と噛み合っていないために車体が押し広げられている場合があります。その場合は現物合わせで欠き取りを広げる作業が必要になるので注意です。

 

・チェックポイント3

床板を確認、中央部が線路側に反っている場合は修正が必要

 画像だとあまりうまく伝わりませんが、床板が線路側に反り返ってしまっていることがあります。このトラム製60系客車は元々の特性として車体側が床板の固定用ツメを抑える力が弱いため、ここで床板側が反り返ってしまっていると車体側で中央部の床板を保持できなくなってしまい、固定用のツメ同士がきちんと噛み合わないばかりか却って車体中央部の膨らみを生み出す原因になってしまっているパターンもあるわけです。

 そのため、この場合には床板にも調整を加える必要があります。

 

 

 ここまでのチェックポイントを踏まえて、確認するべきポイントと具体的な修正作業を纏めましょう。

 

  • 車体中央部の床板固定用突起の真上の窓ガラスパーツにゲートが残っている場合は、窓ガラスパーツのゲート残りを除去。
  • 郵便荷物・合造車の荷物扉と床板の欠き取りの位置や大きさが合っていない場合は、床板の欠き取りを広げて欠き取り部分に荷物扉が収まるように調整。
  • 床板が線路側に反り返っている場合、反りの解消。

 

ちなみにいずれにも該当しないけれど持病が出ている場合は、室内灯が半端にはめ込まれていて車体が歪んでいる可能性が濃厚です。

 では具体的な作業に入っていきます。

 

 

・窓ガラスのゲート取り

 確実に窓ガラスパーツのゲートを取るために、一度車体から窓ガラスを分離する必要があります。窓ガラスパーツは上下に貼られた両面テープで車体に固定されているため、一度これを剥がさなければいけないのですが、窓ガラスパーツの構造上区分けされた部分の境目で折れやすいので慎重な作業が必要となります。

持っているなら構造がシンプルで万が一のときも代車を用意しやすいオハ61で最初にやってみるのが無難かなというのが個人的な見解です。

窓ガラスパーツを慎重に持ち上げる。この段階では少し持ち上げるぐらいでOK

 窓ガラスを外すために、まず車体下側の両面テープを浮かせてしまいましょう。車体と窓ガラスの隙間に(車体を削らないように気をつけて)先曲がりピンセットなどを差し込み、テコの原理でほんの少しだけ持ち上げます、1~2mmほど持ち上げて少し保持すれば作業箇所の両面テープは剥がれるので、少しづつ場所をずらしていきましょう。目安は見て分かる程度に窓ガラスパーツが車体から浮いていて、指で隙間を広げられる塩梅です。

車体上側の両面テープを剥がす、焦らずに慎重に

 窓ガラスパーツの下側の両面テープが全て浮いたら、各部分の継ぎ目から「必ず隣り合う部分を両方同時に」慎重に少しづつ内側に倒して残った両面テープを剥がしていきます。

隣り合う部分を同時に倒していかないと、継ぎ目の部分で窓ガラスパーツが折れてしまいやすいのでこの手順は特に気をつけてください。隣との継ぎ目が折れない程度に少し強めに倒してそのまま保持すれば、両面テープは自然に剥がれていきます。

 片方の端を少し倒す→隣を同じ傾き具合で倒していく→反対側まで到達して全体が同じ傾き具合になったら最初に戻り、窓ガラスパーツが外れるまでこの手順を繰り返す、という流れです。

 

 窓ガラスパーツが無事外せたら、ゲートをきれいに除去して組み戻します。この時は出荷時状態と同じように両面テープでくっつけてもいいですし、ゴム系接着剤等で確実に接着してしまってもいいかもしれません。

 

 

・床板の反り修正

 床板の反りは幾つかの要素の状態で決まる上に、室内パーツと床板の分離の難易度が高いため非常に厄介なところでもあります。

 まず室内パーツと床板の分離ですが、これは両端を外してから中央部を外すという手順をおすすめします。両端の外し方は、例えば床板を手前側に、室内パーツを奥側にずらすように力を加え、自分の爪で床板側に付いている固定用のツメを弾いてまず片側の固定を外すような感覚です。この固定はかなり固いので床板側のツメを折ってしまわないように気をつけてください。

両端の固定を外したら、室内パーツを床板と水平方向に回転させるように力を加えながら同じ用に中央部の固定を外します。

 

 室内パーツと床板を分離できたら、まずは床板側にセットされているウェイトをチェックします。

ウェイトの反りを確認後、屋根側に反りが来るように曲げ具合を調整

 このウェイトの反り具合はまちまちですが、一旦取り外して屋根側に反りが来るように手で曲げて調整します。ウェイトは強度・性状的に床板全体に対してバネのような働きをするため、ウェイトを予め屋根側に反るように調整しておくことで組み付け後の床板中央部が垂れないように保持する役目を担ってもらうというわけです。

後述しますが、室内パーツ側が床板を線路側に押し下げるような力を加えてしまうので、これをウェイトの反発で抑え込むという理屈です。

 

 ウェイトの処理が終わったら、次は室内パーツ側の処理です。

赤丸部分のバリが気になる人は撤去する方が無難

こちらも裏側に結構バリが残っていたりしますので、気になる人は削り取っておくのが良いでしょう。

また、室内パーツも床板から取り外すと豪快に線路側に反りかえっている場合があります。その場合は屋根側に反るように曲げて反りを取りましょう(ただしウェイトのように見て分かるほど屋根側に反っている必要はなく、最悪ちょっと中央部が垂れてるかな?ぐらいでもウェイトの反発で抑え込めるので躍起になる必要はありません。)

 

・最終組立

 ウェイトの処理と室内パーツの反りの処理が終わったら、窓ガラスパーツのゲート取りを済ませた車体と再び組み付けます。

この時に出荷時点で取り付け済みの室内灯をそのまま使う場合は、天井部分に室内灯がきちんとはめ込まれているかも確認しましょう。

 

 うまく処理できていれば、下の画像のように車体中央部の膨らみが取れてスッキリとはまり込んでくれます。

窓ガラスのゲート取りや床板の反りの調整を終えて組み付けた状態
車体中央部で目立っていた膨らみが解消されている


 まるで塗装済み完成品キットのようだ、というぐらいには手のかかる製品でした。一番目立つ車体中央部の膨らみはこれで解消できますが、他にも室内灯が暗い、テールが構造上暗い上に導光レンズが妻面窓から丸見え、など好みに合わせて手を加えられる場所はいくつもありますね。

 

 とまぁトラムウェイの60系客車は悩ましいところは幾つもある製品なのですが、その一方で台車の転がりの良さだったり、残っていたゲート跡や意図せず発生していた反りなどを処理した後はすっきりと組み立てられたりと、基本設計は決して悪くない製品でもあります。

 広く出回っていて安く気軽に手に入る60系客車は現状トラムウェイのこの製品しかありませんので、旧客普通列車スキーで気になっている方はぜひ手にとってみてはいかがでしょう。在庫があるうちに・・・・・・

 

KATO製 ALC-42 チャージャー(N)の分解と室内灯取り付け

KATOから待望のアムトラック新型機関車・ALC-42 "Charger"が発売になりました。

 

www.katomodels.com

 

 さて、この製品は機関車に室内灯ユニットを組み込むことで実車でも特徴的な透かしルーバーを点灯させるギミックが用意されています。

室内灯はユーザーの任意取り付けとなっているのですが、製品付属の説明があまりにもざっくりしている割に造りが独特で、何も知らずに分解しようとすると恐怖さえ感じるような構造になっています。

 なので室内灯ユニットを組み込むために分解しようとして、うっかりパキッとやって萎え萎えになってしまう悲劇を少しでも減らすべく、分解方法を記録しておきます。

ASSYパーツもアメリカ型向けは国内に殆ど出回っていないので・・・(20世紀特急の時は一部出回っていた)

 

 

・構造

まず全体の構造を把握するために分解後の画像から見ていきます。

ボディと動力ユニットを分解したところ

 基本構造はP42とほぼ同じですが、構成的には同じKATO製のSD70ACeのようにダイキャストフレーム+台枠パーツボディパーツに分解する構成になっています。
 ダイキャストフレーム+台枠パーツの部分はほぼ左右対称です。ではボディ側を見ていきましょう。

ボディ内部(右側面) 丸印は固定用の構造がある場所

ボディ内部(左側面) 丸印は固定用の構造がある場所

 ボディ側は特徴的かつ特殊な構造となっており、フレームに固定するための構造が前位/後位側に偏って配置されています。

 それではこの特徴的な構造を踏まえて、実際に分解していきましょう。

 

・分解

1. 準備

 分解するための前準備として、後位側車端部に取り付けられているホースパーツを取り外しておくことをおすすめします。

このパーツは車体構造から飛び出しており引っかかりやすい割に外れやすく、気を抜くとすぐ何かを引っ掛けて外れて行方不明になりかねないため、作業前に一旦取り外しておきましょう。

丸で囲んだ部分がホース表現パーツ、非常に外れやすい

 このパーツはただ穴にはめ込んであるだけなので、ピンセット等でつまんで軽く長手方向にふにゃふにゃと揺すってあげれば簡単に外れます。パーツに左右の区別は無いようなので、特に気にせず車両ケースのフタにでも放り込んでおくのが良いでしょう。

 

 

2. ボディとフレームの固定を外す

 

 ホースパーツを取り外したら車体をひっくり返します。

丸で囲んだところに固定用の構造が隠れている

 オレンジで丸をつけた部分では、ボディのガラスパーツの凹みにダイキャストフレームの出っ張りが引っかかった構造の固定部があります。

 ここの引っ掛かりは、爪楊枝なりピンセットなりでガラスパーツをそっと押し上げて車体側に押し込むとボディが台枠から浮き上がるので、連結器部分を軽く指で支えて少しだけ持ち上げてしまって固定用構造が外れた状態を維持して上げるのが良いでしょう。台車を持って外そうとすると高確率で台車枠がスポっと外れるので注意です。

 片側のオレンジ丸の構造の固定を外した後は、先に緑で丸をつけた、ルーバーガラスと台枠パーツで固定されている部分を2ヶ所とも外してしまうのがおすすめです。この部分の構造はちょっと引っかかってるだけなので、ボディを軽く広げるだけで簡単に外れます。

 残ったオレンジ丸部分の固定も外すと台枠パーツとボディの間に隙間ができるので、ここで一度車体を起こして床下側が下になるように置き直しましょう。

 ※ひっくり返したままでも作業できないことはないのですが、車体をひっくり返したままだとダイキャストフレームの重さがここまでの作業をリセットする方向の罠になること、フレームを引き抜く際に台枠部分のプラパーツに力がかかって破損しやすくなることからあんまりおすすめはできません

 

 

3. ボディとフレームの分解

 

 車体を起こしたら、台枠パーツとボディの隙間を広げながらボディを上に引き抜きます。この時片方を引き起こした反作用でもう片側が固定位置まで戻ってしまわないように、指で抑えながら前後を交互に持ち上げていくのが良いでしょう。隙間がある程度以上の広さになると抵抗なくスポっと外せるので、落ち着いて作業を進めるのが肝心です。

 ボディが外せたら、後は製品説明(単品ならケースに入っている紙の内側に書いてあるのでウレタンを外すと見える)の指示に従って、室内灯ユニットを調整して組み込みます。ここはフレームも強靭かつユニットがパチンとはまる構造になっているので、多少強めに押し込むぐらいでも大丈夫です。

 

 

 室内灯ユニットの組み込みが終わったら、ボディを被せて元通りに組み立てます。この時、ボディの先頭側を先にフレームに被せてから後ろ側を被せ、だいたい車体が水平になったぐらいの位置から押し込んであげるとすんなりと組み上がってくれます。

 なお、前後の台車付近やや車体中心寄りに、台枠パーツが内側にへこみこまないためのストッパーがボディ側に付けられているので、この部分が浮いた時は無理に押し込まないように気をつけましょう。台枠パーツを外側に少し広げてあげれば正しい位置に収まりますので。

 あとは最初に取り外したホースパーツの再組み込みもお忘れなく。

 

 

チャージャーの分解と再組み立ての要点は以上です。分解する時はくれぐれも無理な力をかけすぎないように落ち着いて作業しましょう。特に台枠パーツを無理に引っ張ると、ダイキャストフレームに固定している部分のツメにダメージが入りやすいのでお気をつけて。

 

 

おまけ

台車枠は力がかかると割とあっさり外れますが、外れてしまった台車枠を元に戻す時は下の画像のオレンジの丸部分に固定用のツメと引っ掛かりがありますので、ここをきちんとはめ込むようにしましょう。ここの固定が甘いとギアが中途半端に噛み合った状態になってしまい、牽引力の低下やギアの極端な磨耗といったトラブルを起こしやすくなってしまうので。

台車枠の底板の前後部分が、ギアボックスの端のツメと噛み合う構造になっている

 

天賞堂ダイキャスト製 C61 20号機の空転問題

   そこまで実機を再現しなくていいです……

 

 思わずそう零してしまうほどには致命的な空転を起こす持病を抱えていた天賞堂のダイキャスト製C61型蒸気機関車

私の手持ちはJR東日本で動態保存中の20号機ですが、基本仕様はどのバージョンでも変わらないはずなのでおそらく天賞堂のダイキャストC61全般が抱える問題になっていると推察します。

 

 平坦線では特に問題のない走りを見せてくれるのですが、上り勾配に入ると途端に空転(スリップ)を起こす、そしてそれほどキツくないはずの勾配でも牽引力の低下によって止まってしまう。流石に止まってしまうたびに押しに行くのは手間というレベルではないので、なんとかしようと空転時の様子を観察して対策を講じることにしました。

 結果、特別な工具を必要とせず、作業自体も1~2分もあれば終了する程度の加工で劇的に改善したので、同じ空転問題に苦しむ誰かへの助言になればと備忘録的に記しておきます。

 

・手順

 

1. 従台車を支えるバネを撤去する

 

以上です。

 

困った果てにこんな辺境までたどり着いた初級者向けに、作業手順を画像付きで解説しておきます。

 

作業手順

 

 まず従台車を外すために車体に固定しているネジを外します。画像にも示した通り2ヶ所でネジ止めされているので、このネジを両方とも外してしまいましょう。順番としてはプラスネジ側にバネが仕込まれているため、「マイナスネジを外す→従台車が跳ね跳ばないよう手で抑えながらプラスネジを外す」という手順が良いでしょう

プラスとマイナスのドライバーがそれぞれ必要

 

 両方のネジを外したら、従台車が跳ねないようにそっと真上に持ち上げます。このとき次の画像でも示した、従台車とバネの間に挟まれている透明ワッシャーをうっかり飛ばしてしまわないように注意します。ものによってはグリスで従台車側に貼り付いた状態になっているので、その場合はあまり神経質にならなくても大丈夫です。

 

従台車を取り外したところ、従台車側に透明ワッシャーが貼り付いた状態で取れている

 

 先の画像で示したバネを撤去したら、今までの手順を逆側にたどって従台車を組み付け直します。透明ワッシャーはバネが従台車を押し下げるためのものなのでバネと一緒に撤去しても構いませんが、気になる人はそのまま残してしまっても良いでしょう。保管も面倒ですし。

 

従台車を組み付け直したところ、バネの支えがなくなっているのが分かる

 

 無事ネジ止めが済んだらこれで作業は終わりです。今までの空転っぷりはなんだったんだというぐらい快適に走るようになります。

 このバネ外して大丈夫?と不安になるかもしれませんが、外した状態で1時間ほど走り続けていても特に問題は起こりませんでした。ただし逆機状態で高速走行させるとポイントなどで跳ねて脱線を起こす可能性はありますが、まぁそんな極端な運転は通常しないということで……

 

 

おまけ:なぜこれで改善したのか?

 この先はなぜこれで空転癖が直ったのか?という理論的な部分が気になる人のための補遺となります。

 

 ふんわりとした説明になりますが、空転という現象は車輪とレールの静摩擦力(一般的に粘着力と呼ばれる)に対して動輪を回す力(駆動力)が上回った時に発生します。雑にまとめれば、空転が起きている状態というのは粘着力に対して駆動力が大きすぎて動輪がレールを捕まえられない状態です。

 

 なので空転が発生した場合、模型的には動輪の駆動力が粘着力を下回るまで速度を落とすか、そもそもの粘着力を増やすかで対処することになるわけです。ただ常に機関車の動輪を監視し続け、空転を起こす度に速度を落として復帰を試みるのは(それで復帰するという前提があっても)ちょっと手間ですよね。もちろんそういうものも含めて模型運転の醍醐味ではあると思うのですが、一周毎に確定で空転を起こされたらたまったものではありません。

 

 そのため、基本的には模型の空転対策は粘着力を稼ぐ方向となります。粘着力は軸重(車軸一つにかかる重量と考えてもらって大丈夫です)に比例して強くなります。簡単に言ってしまえば動輪にかかる重さを増やしてしまえばその分滑りにくくなるというだけの話ですね。この方向性でのアプローチでよく使われる方法が補重(放り込めるところにウェイトを追加)です。

 それ以外ではトラクションタイヤと呼び習わす、ゴムタイヤを装着した車輪を用意するのも粘着力を稼ぐ手段になります。(こちらは集電を犠牲にしなければならないため、車両の集電構造によってはデメリットが大きい)

 

 ただし、空転を左右するのは「動輪の粘着力」という部分に気をつけないといけません。そもそもの重量が足りていなくて空転を起こしている場合には適当にウェイトを追加すればいいのですが、車両自体の重量は十分なのに各車輪への重量配分が適切でない場合には、下手にウェイトを仕込んでも思ったほどの効果が上がらないことがあります。

 この流れで動輪に先輪従輪を含めた車両全体での重量配分が上手くいっていない場合を出したあたりで勘の良い方は気づかれたと思いますが、今回問題になったC61はこちらのタイプです。

 

 それではこの先が核心となります。C61が上り勾配で空転を起こしている時の状態ですが、実はこのときにキャブの屋根あたりに軽く指を乗せる(添える程度、力を入れて押し下げる必要は全く無い)と、空転が収まり牽引力が戻ります

 ここから「本来上り勾配でも空転を起こさないだけの粘着力(≒車両重量)があるのだが、それが何らかの理由で動輪に乗っていないのではないか?」という推測が立てられるわけです。

そして上り勾配では重さのかかり方が後ろ側に偏ること、キャブ側に軽く下向きの力がかかると空転が収まることから、どうやら上り勾配でキャブ側からボイラー部を持ち上げる力が働いているらしいぞ、ということも容易に推測できます。

 

 この点を踏まえてC61の従台車をチェックすると、従台車がなにかの弾みで浮き上がらないようにレール側に押さえつけているバネの反発力が妙に強いことに気が付きます。

よってC61が抱えていた空転癖は

 

・従台車をレールに押し付けるバネの反発力が強すぎる(根本的な原因)

 →勾配に入ると重さのかかり方が後ろ寄りに移動するため、バネの反発力によってボイラー部全体に坂の下側から持ち上げられるような力が働く。反作用で重量は従台車に逃げる(起こっている作用)

 →ボイラー部全体がキャブ側から空中に持ち上げられたような状態になってしまい、動輪に本来の重さがかからなくなり粘着力が低下した結果空転を起こす(結果)

 

というメカニズムによって発生していたと判明しました。

 

 故に根本的な原因「従台車をレールに押し付けるバネが強すぎる」を解決すればそれだけで良いことがわかりますね。

対処としてはバネを切り詰めて反発力を調整するであるとか、もっと柔らかいバネに交換するという方法もありますが、一番手間がかからない方法としてバネそのものを除去してしまうという方法を提案したというわけです。

 この方法であれば全体を分解してウェイトを追加する必要もないので、加工のハードルが低い点も評価ポイントです。

 

 なお、従台車のバネ撤去後のC61の挙動について、バネを抜いた事により構造的に従台車はただ引っ張られるだけとなり機関車の重量が一切かからなくなるため、バネがあった時に比べると従台車はやや不安定になりますが脱線が頻発する程にはなりませんでした。連結器から伝わる荷重もそのままボイラー部に抜けるため、少なくとも前進時は従台車自身の重量だけでもきちんと線路に追従できるようです。

KATO USA ビューライナーⅡ荷物車(HO)

 

 はい、というわけでようやく日本でもHOスケールでアムトラックのビューライナーⅡ荷物車が発売となりました。と思いきや記事を下書きで塩漬けしていた間に4ヶ月近く経っていたという時期を完全に逸したオチに。

市中在庫はじわじわ減ってきているようですが、まだ残ってはいるので安心と安定のKATO製ということで今のアムトラックを楽しみたい人は迷わず買いましょう。

 

 さて、特段ケチをつける要素も理由も無いので、手短にレビューをしていきます。

 

本当は画像を添付しようと思っていたのですが、面倒くさすぎて後回しにしている間にこんな事になってしまったのでレイアウトに持ち出す機会があった時にでも撮って追加しておきます…

 

もくじ

 

・予備知識

 

 アメリカ旅客列車初心者の方向けに簡単にこの車両の説明をすると、アムトラックの旅客列車には今でも荷物車(日本でのマニに相当する車両)が連結されています。長らくアムトラック設立時に私鉄各社から引き継いだヘリテイジと呼ばれる車両達がその任に当たっていました。が、この車両達は古いものだと1950年代製造でもう還暦見えてるぞ、といった化石みたいな車両がゴロゴロいたんですね。

 流石にそろそろあかんな…ということで2010年代後半から新造車での置き換えが始まりました。このために製造・投入されているのがこのビューライナーⅡ荷物車というわけです。

 

・外観

 

 はい文句なし。印象良しサイズ感良し車体の銀色はきれい帯の塗装もきれい流石俺たちのKATOだぜ! ドアは開きませんが、まぁそこは開けたきゃ改造しろということで。

 

 

・ユーザー取り付けパーツ

 

 同じKATO製のスーパーライナー客車やヘリテイジ荷物車には無かった(はず)のユーザー取り付けパーツが添付されています。場所は車体が収まっている発泡スチロール容器の下です。

 取り付け自体は簡単です、車体側に付く手すりのバリ取りにだけ注意をすれば失敗する要素もないでしょう。床板側取り付けパーツに至ってはゲート側は車体に隠れるようになっているので、バリ取り処理が雑でも無問題です。

 

 

・構造

 

 こちらも特に特殊な構造は無し。ただしテールライトユニットの仕様の関係で遮光用パーツが車内に目立ちます。気になる人でテールライトの点灯を考えない場合はケースは撤去、ライトレンズも切断して直接妻面のライト部分に接着埋め込みしてしまえば車内もスッキリするでしょう。

 

 

・走行性能

 

 ケチをつけるほどではない上に、今のところ特に実用上問題も無さそうなのですが、個人的に少し気になったところが足回りです。

 一般的なプラ製品同様、この荷物車も台車から伸びた集電板に車体側の導電板を当てて車内に電気を引き込む構造を取っていますが、車体側の集電板の反発力がやや強すぎると感じました。もちろん台車を下向きに押し下げる力が働くだけなら特に問題はありません(台車は固定用ビスに引っかかるので、ビスを外さなければ台車が外れる理由が無い)。

 ただしこの製品のように、コロ受けが車軸に取り付けられており車輪の回転に合わせてコロ軸受けも回るようになっている仕様上、車軸が台車の集電板を貫通していることが悪い噛み合わせとなっています。車軸が上から押さえつけられているのか、強く押されて傾いた集電板が車輪側面を掠っているのかは詳しく調べないと判断ができませんが、車輪に常に強めのブレーキがかかり続けている状態になっているのは間違い無さそうです。

 車体側導電板の端部を少し折り曲げて反発力を弱めるか、あるいは導電板を車内に完全に引き込んでしまってTOMIXよろしくバネを台車側集電板にセットすれば解決する程度の話ですし、現状これを放置したからといって特に問題が起きるとも思えませんのでなんとも難しいところですが。

 

 今後KATOがビューライナー寝台車や食堂車などアメリ東海岸の旅客列車用の新型車両を展開し、ビューライナー荷物車の構造を踏襲した車両を多数発売した時にそれらで編成を組むと走行抵抗としてちょっと問題になるかな?といった具合です。

 

 ※実際にレイアウトで走らせたところ、組み込み一両であることもあって特に走行抵抗の大きさを感じる場面はありませんでした。なお、しばらく走らせているとキュルキュルと耳障りな音が鳴り出しますが、これはコロ軸受可動仕様の関係でどうしても鳴ってしまう音(スーパーライナー客車の方でも発生する)なので、特に不良品というわけではありませんのでご安心を(?) 対策はあるにはありますが、やや上級者向けとなるのでここでは割愛させて頂きます。

 

 

・総評

 

 欲しけりゃ買え。

 

 

 

 

 

 

 

鉄道模型のはじめかた ~アメロコメンテナンス編~

 あろうことか、アメリカ型機関車から入る海外型の世界はいいぞおすすめだぞと叫びまくっておきながら、肝心のメンテナンスについて一切触れていなかったことに気がついてしまいました。

 なので(比較的簡便で)確実な車輪の清掃作業ができる方法の一例を紹介していきたいと思います。注意点としてこれはあくまで方法の一例であり、筆者はこれが最適だと考えてはいますが「絶対にこうしなければいけないやり方ではないという部分に気をつけてください。車輪がキッチリきれいになって自分の手に馴染むやり方があるなら、それで必要を満たせるわけで。

では御託はこれぐらいにして本題へ入っていきましょう。

 

アメロコメンテナンス編です。

 

もくじ

 

 

・(KATO製)アメロコの基本構造について

 

以前の記事でおすすめしたKATO製アメリカ型を購入した前提で話を進めていきますが、DCCとの兼ね合いで基本的にアメリカ型鉄道模型ディーゼル機関車の構造はメーカーが変わっても似たりよったりになるようです。

 動力ユニットと車体を分離した状態が下の画像です。

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KATO製 ES44AC

真横から見た状態なので細かい部分は分かりにくいかと思いますが、基本的に車種に関わりなく同じような内部構造となります。

 手に取ったときの重量感からも予想できたとおり中にはダイキャストフレームがみっちり詰まっているわけです。動力ユニットはこの左右別のフレームに、モーターと絶縁体を挟んでネジで組み上げた構造となっています。絶縁体を挟んでいるため左右のフレームは電気的に独立しており、ウエイトと集電板を兼ねるように設計されているというわけです。このあたりは日本型の電気機関車と似たような形ですね。

 そしてフレームに上からライト基板を被せ、画像でも大きく目立っている給電用の金属板からモーターに電気を供給するというのが動力ユニットの基本構造です。

モーターへの電気は必ずライト基板を通って供給されるようになっているので、ここをDCCデコーダーと交換してあげると特別な改造の必要なくDCCに対応できるというのがこの構造を採る理由なのでしょう。

 

 

・分解する際のコツ

 

 車体と動力ユニットは、動力ユニットのダイキャストフレームにある固定用の出っ張り(下の画像の丸で囲った部分にある)を引っ掛ける形で固定されています。

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なので動力ユニットと車体を分離する際には、車体側を軽く広げて動力ユニットを下に引っ張るとスポッと抜けて分解することができます。この際の注意点は、以下の3点です。

 

  • 一度も分解したことがない場合、かなりがっちりと固定されているため慎重に作業を進めること。何回か分解しているとボディ側も慣れてきて大した抵抗なく着脱できるようになります。
  • 主に車体の広げにくさの観点から、キャブ(運転室)側から動力ユニットを引き抜くとやりやすい。
  • 動力ユニットを引き抜く際、車両によってはモーターへの給電用の金属板が床板に引っかかることがあるため、力づくでの分解は厳禁

 

車体そのものはプラスチック製ということもあり、思っているよりは撓ってくれるため手すりの破壊等にだけ気をつければ意外と耐えてくれます。ただし不慣れなうちはくれぐれも無理は禁物です。

 

 

 

・清掃方法の一例

 

 先の記述では車体と動力ユニットの分離方法を書きました。しかし車両の構造によっては完全に分解しない方が車輪清掃が楽なパターンもありますので、実践的な内容として2種類のタイプ別に清掃方法を記載したいと思います。なおどちらの方法も『車輪を介さずに動力ユニットに直接電気を給電し、モーターの力で車輪を回すことで清掃液を含ませた綿棒を軽く当てるだけで車輪が磨かれる状態を目指す』という基礎理論は共通していますのでご安心ください。パワーパックは所持前提ですのでその点についてはご容赦を。

 

なお、お手軽に使えるお役立ちアイテムはこれです。画像のようにジョイントとコードの継ぎ目にマスキングテープを巻いて補強してやると、接続部での曲げの繰り返しで断線に至る事態を遠ざけることが出来ますのでおすすめですよ。

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※車輪清掃時の注意点について

 車体中央部の屋根に付いている警笛は、周りより頭一つ高い割にそれほど強度に優れているわけではないので、車輪清掃のためにひっくり返す際にはうっかり押しつぶしてしまわないように注意が必要です。

 この後の画像でも出てくるように、車両保管用のウレタンの車両が収まる部分を抜き出した後の廃材を利用して、キャブ直後と後部ラジエーター付近を支える形で橋渡しをするようにセットしてあげると不意の事故を防ぎやすいかと思います。

 

 

 

1. 燃料タンクカバーが簡単に外せるタイプ

 

 こちらは燃料タンクカバー(車体中央部の床下についているのっぺりした部品)が簡単に取り外せるタイプです。この記事ではES44ACを使って解説していきます。

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GE ES44AC このタイプは燃料タンクカバーだけを簡単に外せる

 例として出したES44ACのような、燃料タンクカバーが単独で分離できるタイプは(集電板の固定機構の関係で)分解後の組み立て時に集電板の収まり方にかなり注意をしないといけないため、構造をきちんと把握できるようになるまではこちらの方式の方が問題は起こりづらいかと思います。

 燃料タンクカバーは、下の画像で示したディテール兼固定用の爪で車体側に固定している構造となっています。なので本体側の爪が取り付いている部分を軽く押し込んで浮かせてやると、大した抵抗なく取り外すことができるようになっているわけですね。反対に取り付け時はこれらの爪がきちんと引っかかっているかを確認すればいいわけです。

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カバーを外したら動力ユニットのダイキャストが露出します。画像にも見えていますが、車体中央部で2つに分かれているのがおわかり頂けるでしょう。このダイキャストフレームは基本構造の話でも触れたように左右で電気的に独立しており、かつ集電板の役目も持っているため、このダイキャストに直接給電することでモーターを駆動することが出来ます。なので……

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ダイキャストフレームへの直接給電

このように、マスキングテープでターミナルジョイントを貼り付けてやれば線路に置かずともモーターを駆動することができるようになるというわけです。もちろん貼り付ける際は余裕を持って、うっかりショートさせてしまわないように注意してください。

 ここまでくれば、あとは普段模型を走らせる要領でパワーパックを操作することで車輪が回り出すので、清掃液を含ませた綿棒を軽く当ててやることで勝手に綿棒が汚れを拾ってくれるという流れです。

 なお、清掃終了後に燃料タンクカバーを戻す際には、カバーにも左右があるのでその点に注意して元通り組み立てましょう。基本的には鐘の造形がある部分が前方向(キャブ側)に対して左側、空気溜めの造形がある側が前方向に対して右側となっています。なんだかしっくり嵌まらないな……と思ったらその部分をまずはチェックしてみると良いですよ。

 

 

2. 燃料タンクカバーが簡単に外せないタイプ

 

 こちらは燃料タンクカバーが台枠下部構造と共にダイキャストフレームと一体化しているようなタイプの構成であるものが該当します。この記事ではSD70ACeを例に解説します。

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EMD SD70ACe このタイプは車体と動力ユニットを分解する方が清掃が簡単

 例として挙げたSD70ACeは、燃料タンクや台枠の一部が動力ユニット側に組み付けられている構造となっています。このような構造の場合は車体と動力ユニットを分離させずに給電できる場所を露出させる方が面倒なため、おとなしく分解してしまう方が結果的に楽で速いですね。

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分解した様子 ダイキャストフレームに台枠の一部や燃料タンクが組み付けられている

分解の手順は先に述べた通りです。特にモーターへの給電板が引っかかった状態で無理に引き抜かないように注意しましょう。

 動力ユニットと車体の分離に成功したら、次は給電用のターミナルジョイントのセットです。動力ユニットは基本縦長の形状なので、ジョイントでフレームを挟み込むような形でマスキングテープで固定してあげるのが安定しやすいかと思います。

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フレームの左右にペタリ、こちらももちろんショートには注意

この際マスキングテープを長めにとった場合は、フライホイールをマスキングテープで固定してしまわないように注意しましょう。

 あとは車輪が上を向くように動力ユニットをひっくり返して、ウレタン廃材を並べた台の上に乗せてやれば準備完了です。

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ウレタンの台の高さがケーブルを逃してくれます

 

 清掃が終わったら分解した部品の組み立てです。動力ユニットはダイキャストが斜めに切れている側がキャブ側になるので、前後逆に組み付けてしまわないよう注意してください(前後逆では途中で引っかかるとは思いますが……)。

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・最後に

 

 アメロコは重量ゆえに走行性能・牽引力共に非常に良好ですが、流石に車輪の清掃をしなければ走行量と共に走りは悪くなっていきます。

ですが整備の仕方さえ覚えてしまえば快適な走りを維持してくれますし、分解再組み立てができるようになればオイル切れなどにも自力で対処できるようになりますので、ぜひ自分なりの整備方法を確立して頂ければと思います。

 それでは手元の愛車が永く活躍してくれることを願いつつ、今回はここまでとさせていただきましょう。

 

鉄道模型のはじめかた ~アメリカ型HO進出編~

はい、というわけでこちらの記事でイチオシしたアメリカ型機関車1両コースから海外(アメリカ)型鉄道模型の世界によりディープに沈み始めた人向けに、沼の中から手招きする記事です。題して

 

アメリカ型HOのはじめかた

 

この記事では既にアメリカ型Nゲージを幾つか所有している前提で話を進めていきますが、もちろんHOそのものの取っ掛かりとしてゼロからアメリカ型HOをやってみたい、という人でも問題なしです。その場合はアメリカ型Nゲージ所持前提で話している部分は適度に読み飛ばしていただければと。

結論だけ見たい人はこっち

では本題に取り掛かっていきましょう。

 

もくじ

 

・実際のところアメリカ型NとHOの違いって?

 

 もちろんスケールが違うわけですが、この記事の地域ごとの特徴と充実度の項でも触れたように、アメリカでの主流スケールはHOスケール、Nスケールはどちらかというと傍流になります。日本におけるNとHOの関係ほど極端ではありませんが、アメリカ型HO製品はNに比べて圧倒的に種類が豊富、値段は流石にNの方がやや安いとなります。

値段の差にしてもHO製品の値段はN製品比で2~3倍程度となっています。ほとんどのHO製品はN製品の2倍ぐらいのお値段、とざっくりイメージしておけばOKです。とはいえこのあたりを一纏めにしてしまっても後々混乱を来すだけなので、種別ごとに分けて整理していきましょう。

 

 

・車両分類ごとの製品量/お値段事情

 

ではここから車両の種類ごとの製品化量や値段の目安を見ていきます。値段については在庫がある程度安定している新品の定価を基準に見ていきますので、その点は念頭に置いておいてください。

 

1. (ディーゼル)機関車編

 

 まずこれなしでは成立し得ないというほどの存在感、近~現代のアメリカの鉄道の花形であり、かつ編成の顔でもあるのがディーゼル機関車ですね。アメリカ型鉄道模型をやるならほぼ確実に1両は持つことになるこの機関車から見ていきましょう。

 

 

ディーゼル機関車の製品ラインナップと入手性

 

 ここが露骨にNとHOの差が出てくるところです。特に現用機関車のラインナップの差については市場規模の差が露骨に出ている形となっています。Youtubeなどで動画を見ていれば必ず目にすることになるGEのDash-9やGEVOシリーズ(ES44ACなど)、EMDのSD70シリーズはKATOのN製品を見たことがある人も多いでしょう。あるいは初めて手にとったアメリカ型鉄道模型だったかもしれませんね。

 HO製品での機関車は、ディーゼル黎明期の1950年代から現用の最新型に至るまでの広い年代、様々なロードネーム(会社名)の機関車が発売されており、中には既に名前が失われてしまった会社の塗装を最新型の機関車に施したif塗装機なんてものまで出ていたりします。入手性も(マイナーなロードネームやレア物の車両/記念塗装でもない限りは)だいたい市中在庫が存在しているので、欲しいと思ったロードネームと形式の機関車がどこにもない!という事態に陥る可能性が低いのも強みとなります。

 一方のN製品ですがこちらはやや年代が偏っており、1940~70年代頃に活躍した機関車が多数と、それに比べると数が減る現用機関車でラインナップのほとんどを占めるという形ですね。ロードネームも特に現用機関車ではメジャーどころのBNSF、CSX、NS、UPの現行塗装から外れると見つけるのにあちらこちらと探し回らないとまるで手に入らなかったり、など現代車両派やこだわり派にはやや辛い環境となっています。

 

ディーゼル機関車のお値段

 

 先にHO製品の値段はN比でおよそ2倍から3倍程度と言いましたが、ここをもう少し具体的な数字で見てみましょう。ただし割引なりを考慮すると非常に面倒くさくなってくるので、あくまで定価の目安での比較です。日本国内で流通しているDC制御仕様のアメリカ型N製品の機関車(簡単に手に入るのは十中八九KATO製ですが)は、およそ1~1.6万円の範囲に収まります。特別な塗装などでは1.65万円ほどになる場合もありますが、まぁ誤差と見て良いでしょう。

 ではアメリカでの販売価格はどうなのか、為替レートで日本円換算の値段は変動するためドル表記で比較してみます。日本円換算の値段が知りたい人は適宜計算機にでもかけてください。

 

DC制御仕様のN製品の場合、ディーゼル機関車はおよそ90~150$の範囲が相場のようです。

一方のDC制御仕様のアメリカ型HO製品ですが、ディーゼル機関車は各社の精密度を重視したシリーズで価格の相場はおよそ180~250$ほど、多少ディテールを妥協して価格を安く抑えたシリーズだと140$付近まで下がります。

 

N製品のDCC搭載済み製品の場合は、制御用デコーダーのみの搭載でDC制御仕様の値段におよそ80$前後ほど加算、サウンドまで搭載になると100$ほど(なぜかKATO製N製品のサウンド搭載機は200$レベル)の加算になります。HOではDCC対応はほぼサウンド搭載とセットになり、DC制御仕様におよそ100$程度の加算となっていますね。

 

2. 貨車編

 

 現代アメリカの鉄道の象徴とも言える長大な貨物列車。信じられないぐらい図体の大きい貨車を延々100両レベルで連ねた列車を、ゴツい機関車が三重連重連で引っ張って荒野を驀進するアメリカの鉄道風景に興味を惹かれてアメリカ型の世界に踏み込んだ方も多いのではないでしょうか。機関車が顔にして花形であるなら、1両1両は地味でも編成の中核を成すのが貨車。こちらは特に種類も多いので、価格帯が大きく変わるものだけ個別に分けてしまいます。

 

・貨車のラインナップと入手性

 

 N製品の貨車のラインナップの特徴として、製品がややレトロ寄りの方向で充実しているというものがあります。機関車の項でラインナップに1940~70年代に活躍した形式が多いと書きましたが、そちらにラインナップを引っ張られるような形なのかなぁと推測しています。現代型の貨車もラインナップされてはいますが、やはり数が圧倒的に少ないです。

 入手性については主流スケールではない部分も影響しているのか、製品化されている種類についてはそれなりに在庫が残っているようです。レトロ寄りは筆者の守備範囲外なのであまり詳しくは言えないのが心苦しいところですが……

 

 HO製品の貨車については、昔の貨車から現用の貨車まで幅広く製品化されて出回っており、市場在庫も十分です。ただし市場規模ゆえに回転が早いのか、在庫がほとんど残っていない種類(現用の大型タンク車やスパインカー等)もありますのでその点には注意が必要です。

 

・貨車のお値段

 

○一般的な貨車の場合

 

雑多にあれこれ繋がってるような貨車群

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 N製品では、一般的な貨車(ボックスカー、ゴンドラ、フラットカーetc...)の場合、20~25$ほどの価格帯になります。安いものでは15$ほど、高いものだと30$に達するものもありますが、20$ちょっとを中心として15~30$の範囲に収まると考えておくのが無難でしょう。

 HO製品では、一般的な貨車の価格はだいたい30$程度が目安です。ただしタンク車や、カバードホッパー(ホキ2200のおばけみたいなアレ)のうち屋上通路が金属製になっているような高級路線のモデルでは、40~60$ほどになります。

 

 

○構造が複雑な貨車(オートラック)の場合

 

こんな貨車

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 アメリカ型の象徴の一つのように扱われることの多いオートラック(車運車)ですが、大きさと構造の関係で他の貨車に比べると一両あたりの値段はかなり高くなります。

 N製品では動画に映っているような昔からあるタイプでおよそ60$前後となります。一方のHO製品では安いものでおよそ65$、多くは100$弱ぐらいになるようですね。

 

3. 客車編

 

アメリカの旅客列車は衰退しました

 

 

 

アメリカ型HOのはじめかた

 

 ではここまでの各種製品事情を踏まえた上で、どんな流れで手を付けていったらいいの?という疑問に対する一つの回答を提案していこうと思います。あくまで一つのルートに過ぎないので、絶対にこの通りにしろということではありません。その点には注意してください。私の提案するベストルートが、他の人にとっても必ずしもベストになるとは限らないので……

 

1. 入り口

 

 これは中々難しい問題です。海外型入門でも触れた方法ですが、個人的にはホビーセンターカトーに赴いて、展示してあるアメリカ型HO製品の中から気に入った見た目、塗装の機関車を1両だけ買ってみるのがいいと思います。一緒にどこかでショーケースと展示用の線路を買っておくのも忘れずに

ホビセンで買うと一両だいたい1.5~2.3万円ぐらいとなりますので、これに展示用のショーケース(長さ30cmはけっこうギリギリ、40cmほどあれば余裕を持って収まる)と線路を含めて3万円でお釣りが来るでしょう。買ってきた車両をケースに入れて飾って毎日眺めて、やっぱり貨車が欲しいなぁ繋げて走らせたいなぁとなったら次の段階へ進む時です。

 ちなみにホビセン扱いのものならほぼ確実にDC制御仕様なので、もし家で走らせたいとなったときもユニトラックのHO線路を買ってくればNゲージ用の制御機器をそのまま流用する形で走らせられます。ここ結構重要です。

 

2. 貨車が欲しい

 

国内で買う輸入品は基本高い

 

 アメリカ型HOゲージの貨車も、数は少ないとはいえ日本にも入ってきています。ただし取り扱っているお店は少なく、入手可能な製品数は少ない上に単価も定価に比べると割高となります。まぁ少数輸入かつ長期在庫になりがちな面を考慮すると致し方ない部分はあるのですが、お財布的にはちょっと痛いところですね。それでも国内で、1両単位で買えるのは強いです。値段は貨車の種類と大きさでかなり変動はしますが、現代でも運用されているような比較的大型かつ新しめの車両では一両あたり4000~6000円程度、オートラックでは1万円を超えてきます。ただしレトロな貨車ではサイズが小さい分値段もお安くなったりしますので、そこは自分の趣味と相談して貰うのが丸いかなと。

 

・本場の店は安い、ただし輸送費は高く付きがち

 

 一方アメリカのお店では、当然日本で言う日本型と同じ扱いになりますので製品量は豊富、値段についても割引販売しているところが増えてきます。店にもよりますが、割引販売している店ならば一般的な貨車はおよそ22~23$ほどで売られている場合が多いようです。お高めのカバードホッパーなどでも35~40$、オートラックでは50~75$程度まで安くなります。一方輸送費については国際送料となることから、日本円で5000円を平気で超えてきたりもするのが悩ましいところとなります。また、当然ながら直接買う場合、日本への輸送の可否の確認も含めた店とのやり取りは英語で行う必要があるのも注意点です。

 

 

以上の2点を踏まえると、入門用に貨車を2~3両買うだけならば国内のアメリカ型HO製品の取り扱いがあるお店で買うのが無難であり、購入の際にもトラブルが発生しにくいと言えます。

 アメリカの貨物列車の動画を見ているとどうしてもイメージが長大編成に塗りつぶされて頭揚げバターになりがちですが、実際には貨車数両程度の極めて短い貨物列車も(主に支線や小規模路線で)走っています。この段階まで進んできたら、機関車+貨車1両からでも楽しめるのがアメリカ型の世界だよということを今一度再確認していただきたいところです。

 

この動画は中盤以降で基準がアメリカになってくるので最初の方だけ見ておけばOKです

www.youtube.com

 

色々と極端な例ではありますが、こんなものでも実例バリバリです

youtu.be

 

 そしてそれだけではもう耐えられない、あの機関車に大量の貨車を引かせたい!となったら最終段階へと進みます。

 

3. ぜんぶ、ほしい

 

 もはや国内で手に入るもので誤魔化すのは無理、あの会社の塗装のあの機関車が欲しい、貨車もこれを引かせたい、となるともはや日本国内で完結させるのはおよそ不可能ですし、強引に解決しようとすると却ってコストが高く付くようになってきます。この場合はアメリカの店から買って日本に輸送するという形になりますが、欲しいものを五月雨式に買っていると主に輸送費が暴騰して本末転倒になってしまうので、ある程度買うものを絞る&纏めて発注して輸送費の圧縮を図る、といった工夫が必要になってきます。ただしこの段階まで進むともはやこの記事の趣旨とは乖離してしまうので、最後に冒険者ルートとして近いルートを纏めることで解説と代えさせてもらいましょう。

 

 

・ところでDCCの話がほとんど出てきていないよ?

 

 はい、ここまでの話は基本的にDC制御仕様の前提で進めてきました。理由はまぁ色々とあるのですが、DCCも始めるとなると実質的にアメリカ型HOとDCCの2種類を並行して始めるような状態になってしまうので、出費の膨らみ方が馬鹿にならねぇ、と。また、貸しレイアウトに持ち出すぞとなった時に事前確認やら自前のパワーパックの用意やらの手間もモリモリ増えてくるので、そんなところでキャパオーバーを起こして新しい世界に飛び込むことを断念してほしくはないのです。

 さらに言えば海外ではDCCが主流との論調は耳にしたことがあるかもしれませんが、海外メーカー製でもDCC搭載済みの製品と並行してDC制御仕様の製品は普通に売り出されています。あくまで日本で始めるという前提に立てば、日本型向けのDC制御インフラにタダ乗りできるDC制御仕様の製品を手始めとする方が合理的という話ですね。

 もちろん最終段階までどっぷり沈んだ後に音や機関車への負担の少ない総括制御を求めてDCCに進むのは合理的な流れです。つまるところDCCは大急ぎでやらなければいけないものではない、あくまで選択肢の一つというだけの話です。

 

 

・まとめ:アメリカ型HOの始め方の例

 

○3万円から始める無難なコース

 

1. ホビーセンターカトーなどのDC制御仕様の機関車を店頭で展示販売しているお店へ行き、気に入った見た目と塗装の機関車を買う。ついでに線路とショーケースも買って日常的に目の届く場所に飾る

(この段階での出費はショーケース等込みでおよそ3万円でお釣りが来るぐらい)

 

2. 貨車が欲しくなったら、国内で取り扱っているお店をあたって2~3両ほど買ってみる。

(この段階での出費は1~2万円ほど)

※貨車一両5000~6000円で計算、オートラックが欲しい人は予算マシマシで

 

3. それ以上に欲しくなったら、ここではじめて国外からの調達を検討する。

(予算青天井解禁)

 

このパターンであれば段階的なので急激な出費は要求されず、外に持ち出して走らせるとなっても車両数が少ないので持ち運びは楽&DC制御仕様の機関車なので日本型が走る場所ならばどこでも走る。と、段階ごとのハードルも相対的に低く、実際に走らせる際の注意点も日本型にほぼ準じる扱い(つまり特別な配慮が不要)となります。

 

 

 さて、ここまでアメリカ型HOへの手引をつらつらと書き連ねてきましたが、アメリカ型Nに対するHOはDC制御に対するDCCと同じで、できるからと言ってやらなければいけないものではない、という部分は忘れないでください。Nで十分満足している人が無理にHOに手を出す必要はありませんから。

 

 個人的な所感ではありますが、EMDのE・Fシリーズが活躍していたぐらいまでの時代が好きという人ならNでも色々と揃うので、HOに進出する動機は薄いかなぁと思います。一方筆者がそうですが、現用機関車や現代貨物車両が好きな人はHOに進出すると幸せになれると思います。Nだとどうしてもあれこれ揃えづらい部分がありますから……

 

 それでも比較的手頃に充実したラインナップに手が出せるアメリカ型HOの世界は非常に魅力的で楽しいですよ。この記事がアメリカ型HO世界に飛び込む勇気を持つ一助になればと、そしてアメリカ型HOを楽しむ人が一人でも増えることを願って。

 

 

 

 

 

 

さて、本編を〆たところでおまけの時間です。

ある程度メーカーやブランドの特徴、海外から買うことのリスク等々を理解している中級者以上か火傷をものともしない命知らずのためのあれそれとなります。

 

 

一気に飛び込む命知らず、もしくはどっぷりハマってしまった人のためのコース

 

 こちらはもはやアメリカ型HO製品を買うことに何のためらいもない初心者(?)のためのコースです。無難なルートからどっぷり沈み込んだ人の行き着く先もこちら。

 どうしてもこの車両のこの塗装が欲しい、しかし国内には全く無いぞ、となるとアメリカの店から買うのが種類的にも在庫的にも無難となるわけです。特に日本国内に入ってくるアメリカ型HOの機関車の場合、DCC仕様の割合が非常に高くなるきらいがあるので……

このパターンでは(無難ルートに準じて日本で走らせる際の環境に合わせて)

 

DC制御仕様(”DCC Ready”となっている)の機関車

+お好みの貨車を予算や保管スペースが許す限り

 

という形を個人的に推奨します。

 

 また、せっかく買うなら(値段もそこまで高くないので)各社の高級路線品を買ってくるのが良いんじゃないかなぁとも思います。というよりは廉価版ブランドで出ている機関車があまりないといった即物的な理由の方が大きいのはありますが……

 ブランド名としては"Athearn Genesis"や"Atlas Master"、"ScaleTrains Rivet Counter"、”Walthers Proto”その他もろもろ、といったところですね。とりあえずAthearn GenesisかAtlas Masterで買っとけみたいなところはありますが、最新の本線用大型機関車と支線向けのやや古い機関車のように微妙にラインナップが異なる部分があるので、そこは自分の好みに合わせてチョイスしてください。

 各社のブランドの違いだなんだについては自分で選んで発注する関係上、言われるがままよりは自分で簡単にでも調べた方が悲劇が起きづらくなると思いますので省かせて頂きます。まぁ判断に困ったらAthearn Genesisブランドで探しておきな。

 注意点としては上でも強調していますが、”DCC ReadyとなっているものがDC制御仕様のものです。ものによってはDCCとも何も書いていないDC制御仕様もあるのですが、DCC Readyとなっているものの方が将来的にDCCやるぞとなったときにもバックフィットで対応させやすいので、よくわからないうちはこちらの仕様の購入を推奨します(そうはいっても最近の高級路線ブランドの製品であれば、DC制御仕様は十中八九DCC Readyだとは思いますが……)

DCC仕様の製品であれば、DCCの表記とともにLoksoundなりTsunami2 Soundなりのキーワードが入っているはずなので、そこをチェックして見分けましょう。同じ品物なら値段が高いほうがDCC仕様だとあたりをつけるのもアリっちゃありですが。

 

 貨車については基本アメリカ型ならそのまま繋がるので、欲しいタイプの貨車を予算の許す限り選ぶでいいと思います。販売ブランド名であれば大抵の貨車なら”Walthers Mainline”のものが値段も手頃で種類も豊富なためおすすめ。オートラックが欲しいなら値段はどこも似たりよったりなので、好きな色のものを選ぶで良いでしょう。

 

 なお輸送費用の関係で、海外からの取り寄せは1回で運ぶ数が増えれば増えるほど国内で輸入品を買うよりお得になります(とはいっても国内に同じ品がある前提になりますが……) あくまで個人的な意見ではありますが、嫌な思いをする可能性が許容できないなら、ショップとのやり取りや万が一(目視ですぐわかるレベルで破損しているような)不良品を受け取ってしまった時の対応のために、日本への輸送前に現地で検品が可能な個人輸入代行業者なりを噛ませて発注するのが良いでしょう。手数料が上乗せされる分直接購入よりは割高になりますが、そこは海外発送の交渉を省ける手間賃&不良品発見時の保険費用と割り切ってしまうのが丸いです。

 

 

 命知らずはHow toを鵜呑みにしちゃダメだぞ、自分で調べてリスクを理解してから突撃しような。

 

鉄道模型のはじめかた ~海の向こうへ手を伸ばそう~

鉄道模型の始め方、海外型編です。

 

 そもそも鉄道模型を手に取るのが初めてなんて人はこんな辺境までたどり着かないと思うので、鉄道模型のはじめかた ~入門編~ みたいな気の利いた記事はありません。ゆるして。

 まぁKATOとかTOMIXから出ている線路とパワーパックだけのスターターセットにお気に入りの車両でも探して買うのがいいと思います。ついでに掃除道具も揃えようね。

 

 というわけで本題へ。日本型の興味のあるところは一通り網羅したし、新しい世界の扉を開いてみたいなぁ……という人向けに、海外型鉄道模型の始め方の一例を紹介したいと思います。なお、この記事は海外型Nゲージを始めるという前提に立って書き進めていきます。NとHOの分岐についてはまた別の機会に。

ちなみに情報は2021年6月時点のものなので、いずれ記事中では発売予定になっていても既に発売済みになっている製品等も出てくると思いますのでご容赦を。ではだらだらと書き連ねていくので要点だけ把握したい人は適宜読み飛ばしてください。

結論だけ見たい人はこっち 

 

もくじ

 

 

 

 

・海外型鉄道模型ってぶっちゃけどうよ?

 

 こんな辺境までやってくる程度には興味もリサーチ力もある人であれば、既にかなり心が傾いていることでしょう。ただし海外型は海の向こう側が基準なわけで、当然日本型といろいろと勝手は違います。まずはそのあたりの基本的な知識を蓄えてみましょう。

 

1. 地域ごとの特徴と充実度

 

 ひとくくりに海外型と言っても、当然世界中に鉄道は存在しているわけです。エリア的には日本、アジア全域、アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカ、中央・南アメリカ/オーストラリア、アフリカ、ぐらいに分けておくのがいいでしょうか。専門家じゃないのでわからん。

 この世界中の鉄道を模型的な視点で分類し直すと、日本、西ヨーロッパ、北アメリカ、その他、ぐらいのカテゴリに分かれます。分類の基準ですが、やはり(当然というか)先進国の方が実物視点でも模型商品視点でも圧倒的に充実していますので、その中でも特に鉄道の発達している地域とそれ以外全部に分類してしまうのが合理的というわけですね。各エリアの特徴を日本も含めてざっくり整理してみると、

 

・日本型鉄道模型

 ぼくらの祖国、電車キチガイの国。主流規格はNゲージ。N製品の充実度が価格の安さ・製品数どちらにおいても圧倒的な反面、HO製品は総じて金属製・少数生産がメインのため高価な傾向。

制御方式はほぼDC。

 

・欧州型鉄道模型

 鉄道発祥の地イギリスを擁する国際プロジェクト炎上に定評のある地域。こちらの主流規格はHOスケール(イギリス型はOOスケールが主流だが、線路幅は同じ16.5mmなので無問題)。そこまで詳しくない人でもメルクリンの名前ぐらいは耳にしたことがあるはず。HO製品はプラ製が主流で(日本型に比べれば)非常に安価。(専門外なので怪しいが)N製品もそこそこ出回っている印象を受けるが、日本型N製品に比べると総じて高級品な傾向。

制御方式はDCCが主流。

 

アメリカ型鉄道模型

 鉄道発祥の地がイギリスならば、もう一つの鉄道大国であり日本の鉄道の直系のご先祖様に当たるのがアメリカの鉄道。こちらも主流規格は欧州と同じくHOスケールで、多種多様で安価なプラ製品が出回っている。一方N製品はHOに反比例するように流通量も製品数も少ないが、値段は欧州型に比べるとまだ低め。

制御方式はDCCが主流。

 

・それ以外の地域の鉄道模型

 こちらはそもそも出回ってねぇ!!みたいな状態です。まぁ理由は色々あるんですが、鉄道趣味が許容されづらい程度には政情やら庶民のお財布やらが不安定、ぐらいにしておきましょう。

 ただし中国型や台湾型の一部については、N製品が最近日本にも入ってきています。……が、やはりメーカーの規模やら生産数やらが悪く作用しているのか値段はひっくり返りそうなぐらいお高いです。ちょっと前に出てた台湾型のDRC 1000とか20m級の3両で4万近くてひっくり返りそうになったわ!

HO製品になると存在しているのかすら不明。制御方式は(おそらく)DCが主流のはず……全くわからん。

 

2. スケール

 

 ある程度模型を齧ったことのある人ならば一度は耳にしたことがあるフレーズ「海外ではHOゲージが主流」、これはだいたい合ってます。”地域ごとの特徴と充実度”の項目でも述べましたが、欧米では鉄道模型の主流はHOスケールなので、日本型とはほぼ真逆と言っていいぐらいの充実度の差があります。

あくまで目安ですが、海外メーカー製N製品については同じ車両のHO製品とほぼ同等な値段というパターンが多いように感じます。私の親しんでいるアメリカ型であれば、貨車ならNとHOで値段はほぼ同じ。客車になると(基本的には)サイズの小さいNの方がそれなりに安くなるといった塩梅ですね。

 

3. 製品としての完成度

 

 HO製品もN製品も、外装の完成度については日本型に劣るということはありません。欧州型N製品に至っては、内装までメーカー出荷時点で凝っている物もあったりするので時として日本型を凌駕する完成度(と値段の高さ)であることもあります。

 一方、海外型と日本型で明確な差を感じることの多い部分というと、まず真っ先に殆どの人が走行性能を挙げるとかと思います。レンタルレイアウトに海外型車両を持ち込んだことのある人ならば嫌というほど思い知らされたことがあるでしょう。ただしこの点に関しては、海外型の走行性能が悪いというよりは日本型の走破性能が高すぎるんじゃないかなぁと思う次第です。日本型を前提としたレイアウトにおいては海外型がイレギュラーであるのも事実ですし。

 

・ここまでのまとめ

 主流規格の違いやそれに伴う各スケール製品の流通量にこそ差はあれど、海外型鉄道模型も日本型鉄道模型と根っこは同じ規格に基いたものなので、制御システムと線路幅さえ合致していれば問題なく走ってくれます。海外型鉄道模型に手を出すに当たっても日本型で運用していた設備はそのまま流用できるので、新規の設備投資が必要ということは基本的にありません。ここ大事。

 

 

では海外型鉄道模型の特徴を踏まえた上で……

 

・どこから/何から入るのがいいですか?

 

 適当に買って愛着が湧いたならそれでも全然構わないのですが、せっかくなら満足度が高くて興味も長続きするようなものがいいですよね。

 手を付けるルート自体は色々な選択肢がありますが、値段や入手の手間を含めて総合的に鑑みると、以下に提示する3つの選択肢のどれかをとっかかりにするのが丸いかなぁと思います。

 

  1. KATO・Nゲージの欧州型高速列車シリーズから
  2. KATO・Nゲージレーティッシュ鉄道シリーズから
  3. KATO・Nゲージのアメリカ型から

 

 ……別にKATOの回し者というわけではありませんが、日本国内で(日本型より少々値が張る程度の出費で)入手性が良いものとなるとKATOの海外型を推奨するのが丸いというのも現実なんですね。流石に日本型に比べるとラインナップは遥かに薄いとはいえ、国内メーカーで海外型をまともに生産しているのがKATOぐらいというのもありますが……

ともかく、KATO製海外型Nゲージをとっかかりにするメリットとして、

 

  • 足回りは安心と安定のKATO日本型準拠なので、海外製品にありがちな走行に関わるトラブルの発生率が非常に低い/トラブルに対しても日本型の扱いの知識がそのまま応用可能
  • (欧州型については)万が一部品の破損が発生しても、補修用部品が国内で出回っている
  • 値段も日本型よりやや高め程度で済み、(欧州型については)市中在庫も十分なので入手性が圧倒的に良い

 

 

この3点は海外メーカー製品では得難い強みです。やはり未知の世界に踏み込むに当たって、トラブルが発生したときに説明書が日本語で書いてある&日本語でメーカーのサポートを受けられるというのは安心感に繋がりますからね。

 それでは、先に挙げた3つのルートについてもう少し具体的に見てみましょう。

 

1. KATOの欧州型高速列車シリーズ

 

 ヨーロッパの鉄道に詳しくない人でも、ICEやTGVの名前ぐらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。新幹線に負けるなとばかりに生まれた欧州の高速鉄道網から、KATOはフランスのTGVをメインに製品化しています。直近ではイギリスからClass 800も製品化していましたね。それ以降では2021年6月に赤いTGVことタリス、2021年の9月にはICE4の新仕様も発売予定です。

 手に取る場合の強みについて、TGVとタリスやClass 800の場合は基本的にフル編成セットでの販売となっているため、後から増結だなんだと買い足す必要がないわかり易さでしょうか。

一方ICEとユーロスターについては、日本型新幹線でもおなじみの基本+増結セットでの販売となっています。こちらは10両フルセットが前提となるTGV系に対して、相対的な初期費用の安さが強みとなりますね。

 また、編成中間部が連接式のため連結器の扱いがやや特殊なTGV/タリスとユーロスターに対して、ICEはE3系等で採用されているKATOダイヤフラムカプラーを、Class 800は日本型在来線車両で広く採用されているボディマウントタイプのカプラーを採用しているため、日本型と殆ど変わらない感覚で扱えるのもICEとClass 800の強みと言えます。

 

詳細なラインナップはKATOのこちらのサイトをどうぞ、英語サイトなので面食らうかもしれませんが、載っているものは全て国内品番で発売されているため、気になる見た目の車両の名前をコピってキーワードとしてKATOを付加して検索してあげれば日本語の製品ページがヒットします。

www.kato-ice4.com

 

特に他意はありませんが、TGVやタリスの走行風景を収めた動画を見繕ってきました。

www.youtube.com

 

 

 

2. KATOのレーティッシュ鉄道シリーズ

 

 鉄道ファンなら一度ぐらいは耳にしたことがあるであろう氷河特急(私は氷河急行で覚えてしまっているのでそっちで呼んでしまいます)を運行するスイスの鉄道会社、レーティッシュ鉄道の車両群です。特に最近KATOが力を入れているジャンルなので、実際に販売されているところを目にした方も多いのではないでしょうか。

幸いなことに、こちらはKATOが日本語の特設サイトを用意してくれていますので、どんなシリーズなのかは実際にサイトを訪れてみて頂ければと思います。

 

www.kato-rhb.com

 

 手に取る場合、やはり圧倒的な手軽さが強みですね。実物が機関車/電車+客車の構成が主体ということもあり、機関車か電車が1両に客車が3両もあればそれだけで複数の編成を構築できる良い意味での雑多さは、模型的にも非常に面白くお財布にも優しいものとなっています。(電気機関車前後に客車が連なっているという、日本から見れば度肝を抜くような光景すらあります)

 気になる仕様について、カプラーこそ専用のものとなっていますが、モノとしては密着連結器と同じです。日本型電車の扱いに慣れている人なら特に困ることも無いでしょう。

注意点というほどではありませんが、執筆時点では(ほぼ市場在庫が捌けてしまっている)氷河特急は室内灯非対応です。一方のベルニナ急行系は室内灯対応となっています。

 

特に他意はありませんが、ベルニナ急行の走行風景を収めた動画も見繕ってきました。

www.youtube.com

 

 

 

3. アメリカ型(KATO USA製品)

 

 KATO USAブランドで展開されているアメリカ型車両群も、日本に入ってきています。最近では去年の秋頃発売になった20世紀特急などはポスターで見かけたよという人もいるかもしれません。上2つで紹介した欧州型と比較した場合、製品の種類は多いが入手性で劣るといった立ち位置です。

アメリカ型の場合は、良くも悪くも手軽さは両極端になりがちです。詳しく解説する前にざっくり纏めると

 

  • 連結器は日本型にも採用されているナックルカプラーと事実上同一なので、取り回しについては日本型車両と全く同じ
  • 客車にしろ貨物にしろ、基本はセットなのでそちらに手を出す場合は導入コストが嵩みがち
  • 一方で機関車1両だけを導入して、引かせる車両に既所持の日本型車両を割り当てる場合はローコストで楽しめる
  • ASSYパーツについては基本的に国内に出回っていないので注意が必要

 

となります。筆者が好むジャンルでもあるため、気になる人向けに詳しい解説を以下に載せておきます。細かいことはいいんだよって人は適当に読み飛ばしてください。

 

・全般的なラインナップについて

 機関車のバリエーションが非常に豊富です。一方で貨車についてはKATOが生産しているものはごく僅か。客車も基本は編成単位での販売が多く、1両単位で増やせて編成も組めるものというとシカゴメトラという通勤列車の車両程度となっています。

 

・導入コストについて

 機関車の場合はだいたい1両1~1.5万円ほどの範囲に収まるので、機関車を買うなら日本型蒸気機関車を買うぐらいの感覚で買えてしまいます。

 

 客車列車は、(一応は)1両単位での購入が可能なシカゴメトラや、3~4両セットが多いアムトラックのような現代車両についてはおよそ一両あたり3000~4000円程度で3~4両単位での導入が可能です。

一方で、先に紹介した20世紀特急のような10両近いセットで販売されている旅客列車黄金期のものになるとおよそ3万円前後となります。

ただし、これはあくまで客車のみの値段なので、牽引機も揃える場合は追加で機関車分の費用も計上しなくてはいけない点には注意しましょう。

 

 貨車については元より多くないラインナップの中で比較的容易に入手できるものとなると、コキのおばけ、セキのおばけ、クのおばけ、の3つに限られます。どれも迫力は十分ですが、単品での販売が存在しない関係で1セットあたりのお値段が1~1.7万とあまり気軽にとはいかないのが実情です。

 

・で、結局アメリカ型はどういうパターンがいいのよ?

 

 アメリカ型に興味があり、かつ既に出ている客車列車のセットが気になっていて多少出費が嵩んでもいいかなと思えるならば、必要なセットを買えばそれで揃う名列車のセットものを迷わず買っていいと思います。もちろん牽引機もお忘れなく。

 

 一方、まだそこまでガンギマリじゃないけどアメリカ型には興味があるんだよなという人は、とりあえず機関車を一両買ってみるパターンをおすすめします。関東在住の方であればホビーセンターカトーのアメリカ型コーナーを見に行って、気に入った塗装と見た目の機関車を探してみるのが手っ取り早いですね。あるいは動画で気に入った塗装と見た目の機関車が見つかれば、だいたいの機関車は分かりやすく会社のロゴが入っているのでそれを頼りに探してみてもいいでしょう。

 

 KATO製アメリカ型車両の強みとして、連結器は基本的にKATOナックルカプラー(自動開放対応のマグネマティックの方)が標準装備されている点が挙げられます。このカプラーは日本型に付いているナックルカプラーとほぼ同じものです。そして、ここで機関車を買うことの強みが出てきます。

つまり機関車に引かせる車両として、特別な改造や連結器交換が不要で(KATOカプラー/ナックルカプラーを装着している)既所持の日本型貨車や客車が使えることを意味するわけです。

そんなムチャクチャな、と思うかもしれませんが、これが意外といけますよ。コキやらタキやらの貨物を引かせてもいいですし、ブルトレ引っ張らせても案外さまになります。黒や青が配色のメインの機関車なら旧客でもそれっぽく見えてしまったり。

ただし二軸貨車については機関車の直後に連結すると、機関車側の連結器の復元性と貨車の重量の兼ね合いからか脱線を起こしやすいので注意してください。

 

特に他意は無いですが、アメリカの貨物列車+αの動画を見繕ってきました。

www.youtube.com

あぶれてしまったCSXという大手会社の列車の動画はこちらに

www.youtube.com

 

 

 

 ・制御方式ってどうすればいいの?

 

A. 日本型と同じDC制御でOK

(基本的に日本のお店で買う分には99%DC仕様なので特に気にしなくても大丈夫です)

 

 色々端折ると、ハマるかもわからない世界に足を踏み入れようとしているという前提に立てば、まずは既存インフラをそのまま使えるDC制御で遊ぶのがお財布的にも心理的なハードルの高さ的にも無難という話ですね。日本で遊ぶなら日本の仕様に合わせる方が色々と楽、とも。

まぁなんだ、「もできる」と「ねばならぬ」は=で結ばれる関係じゃないってことさ!

 もちろんずぶずぶと沼に沈んでいく仮定でどうしてもDCCでしかできないことをやってみたい!となればDCCに手を出すのはアリだと思います。(その場合はHOでやるのがいいんじゃないかなぁって気はしないでもないですが)

 

 

 というわけでぼちぼちクソ長記事を纏めて〆にしましょう。

 

・まとめ: 海外型鉄道模型のはじめかた

海外型鉄道模型の始め方の選択肢の一つとして筆者が提案するものは、 

 

 

 こんな感じですね。取っ掛かりに選ぶ車両は見た目が気に入ったとかその程度で大丈夫です、ハマれば知識は後から付いてきます。子供が初めて鉄道にハマる時のように、カッコいいからとかそんな理由で無問題

 ちなみにあくまで傾向として、ですが、旅客列車が好き/興味がある人は欧州型に、貨物列車が好き/興味があるという人はアメリカ型に触れてみるのが(将来的な派生も見越して)馴染みやすいかなぁと思います。もちろんあくまで目安です。筆者とかアムトラックを入り口にアメリカ貨物に沈み込んでいったクチですから……

 

兎にも角にも、願わくば模型をきっかけに世界の鉄道に興味と愛を注いで頂ければ嬉しい限りです。海外型を嗜む人が増えて国内で売れるようになれば入手性もマシになるかもしれないし!

 

 

 

・おまけ

 

おまけその1

 

アメリカ型機関車から海外型の世界に踏み込んだ人のために、アメロコの構造とメンテナンス法について簡単に説明した記事を仕立てましたので、整備のお供にどうぞ。

southwest-chief.hatenadiary.jp

 

おまけその2 

 

 ここまで目を通してくれた人のために、予算の目安だけ最後に放り投げておきます。実際の値段は店によって多少変動はしますが……

 

~1.5万

1.5~2.5万

2.5~3万

  • TGV、タリス(フル編成セット)

3~4万

5万以上ポンと用意できるならだいたいやりたい放題できるので、好きなものを買えばいいと思います。

 

 

 長々とお付き合いいただきありがとうございました。模型を通じてあなたの鉄道趣味の世界が広がらんことを……